COLUMN

歯を抜いて学んだこと


自分のことを自慢できることはあんまりありませんが
強いて言うならば「ずっと虫歯になったことがなかった」ということがあります。
これは丈夫な体に産んで育ててくれた親のおかげとしか言いようがありません。
病院に行く機会が極端に低い人生を歩めているということに猛烈に感謝しています。
社会人になり所帯を持ち
親と離れて暮らす時間が同居していた時間を十分越えて
私には親知らずが3本生えていました。まさに親知らず。
正確には4本。下の1本は歯茎の中で横向きに生えていて、今後出てくることはない状態。
なのでちゃんと生えていたのは3本ということになります。
最新の歯科医療の世界では、親知らずを抜かずに温存することがトレンドだと本で読んだことがあります。
歳をとってから差し歯を作る時や歯が欠けてしまった時
親知らずを素材として使うと、自分自身の組織なので馴染みが良いというのがその理由だそうです。
優秀な素材は温存して残しておこう。という考え方なんですね。
以前は定期的に予防歯科に通っていたものの
最近は忙しさを理由に通うことをずっとほったらかしにしていました。
本来、虫歯になっていなくても
歯石ってヤツは定期的にやっつけてやらないといけない。
五木寛之著「大河の一滴」でも
「病院なんか行かなくていいけど、とにかく歯医者にだけは行っておけ。」と書かれていました。
頭ではわかっているものの、ついついほったらかしになってしまってたんですね。反省。
昨年の夏頃、上の奥歯が急にしみるようになってきました。
いわゆる知覚過敏だろうと思いつつ、久し振りに歯医者に行ってみました。
初めて行ったその歯医者は「親知らずを温存したい」という私の話には1mmも耳を貸さず
レントゲンを見ただけで「親知らずは全部抜きましょう」と言ってきました。
理由を聞いたら「だって親知らずだから」という返答。
開いた口が塞がりませんでした。歯医者だけに。
結局しみる奥歯の治療はほったらかしで、全く関係ない前歯の歯石をちょこっと取っただけで終了。
この歯医者はヤバい。全く任せられないと思いました。
「だって親知らずだから」。この言葉がヤバい。
目の前の情報ではなく自分の古い知識(知識とは言えない酷さだが)だけで判断・行動するということに違和感を感じないことがすでに事故だと思うんです。これを医者と言って良いのだろうか?
早速違う歯医者へ行きました。この歯医者が非常に良かった。
何のための検査か。どう治療すべきか。
とにかく全ての行為について説明をしっかりしてくれるのです。
その先生から
「無理に親知らずは抜かなくて良い。でも虫歯になっている親知らずがあるからコレは抜きましょう。」
と言われました。
虫歯だとは全く思っていなかったので、そこまでしっかりと検査と説明をしてもらえると
「この先生にお願いしよう」と思えました。
その場で抜いてもらうことにし、あっという間に虫歯の親知らずは抜けました。
生まれて初めての虫歯と抜歯でした。
もし2軒目の先生にも「だって親知らずだから抜こう」と言われていたら
いつまでも痛みをこらえながら歯を抜いていなかったと思います。
丁寧な説明をしてもらったからこそ、安心して任せようと思えたのです。
説明することがいかに大切かを思い知らされる出来事でした。
仕事も同じですね。丁寧に説明することも信頼を得るための大切な要素。
歯を抜いてから、自分はちゃんと丁寧に説明しながら仕事ができているだろうか?と考えるようになりました。

山田 (・ω・)ノ

一覧