数年前にバリ島でプロジェクションマッピングを実施するため1週間ほど滞在しました。
バリの伝統舞踊「ワリ」のステージにプロジェクションするCGを制作したのですが
取材のためウブド王宮で舞踊を行うワリの先生の教室にお邪魔しました。
寺院がそのままワリの教室になっていて、村の子どもたちが大勢集まって踊りを教わっていました。
その村ではどの家庭もそれほど裕福ではなく
王宮で踊れるワリのダンサーになれることが最も名誉で給料も高額なことから
村の子どもたちは小さい頃から一生懸命踊りを習うそうです。
しかも先生は良い人材を輩出するため
子どもたちからレッスン料を取らず無償で指導していました。
この中から将来王宮の舞台に立てるのはほんの一握りで
村の親たちはそのわずかな可能性のために子どもたちにお弁当を持たせ、毎日送り出している。
私が、踊る子どもたちを見ていて感じたことは
みんな本当に楽しそうに眼を輝かせて練習しているということ。
誰1人としてやらされてはいなくて、自ら進んでダンサーを目指しているんです。
世界は広くて、子どもたちには色んな可能性があるけれど
ある一定の範囲の世界で、ある一定の選択肢の中で生きる子どもたちは
決して損をしているわけでも、哀れなわけでもない。
目指すべき夢をしっかり持って、一生懸命取り組める人生は何よりも素晴らしいと思えます。
今、私たちの生きる世界は情報に溢れていて、選択肢が無数にありすぎて
何を自分の夢として設定するべきか決められない子供が多いように感じています。
そんな中でも「将来の夢はユーチューバー!」と言える子供が多いことに少しホッとします。
子供たちの世界や選択肢を大人が狭めて決めつけるわけにはいきませんが
ワリの先生のように
ある程度、子どもの特性を理解して夢中になれる選択肢を与えてあげることも大人の役目なんだと
遠い南の島で気付かされた貴重な体験でした。
山田 (・ω・)ノ