COLUMN

スロースピードが楽しい。


私がずっと飽きずに続いている趣味のひとつにラジコンがあります。
世の中いろんなジャンルのラジコンがありますが
私のラジコンはクルマ、つまりラジコンカーです。
もう20年くらい続いている趣味です。

ラジコンカーの価値観のひとつに「いかにスピードが出るか」ということがあります。
スピードを出すために車体を軽量化したり、出力の高いモーターを積んだりしてカスタムしていくこともラジコンカーの楽しみ方のひとつです。
いかにスピードが出るかを広告の売り文句にしているキットも多く発売されています。
そんな中、最近面白い変化が私たちラジコン仲間の界隈で起こっています。

ホビーラジコンのクルマに積まれている標準的なモーターは「540」というサイズです。
安いキットや入門キットにセットされているモーターはひと回り小さい「380」。
サイズが小さいということは、出力が弱いのでスピードが出ないということになります。
数年前から、あえてこの380モーターに載せ替えた「ゆっくり走るクルマ」でレースをすることが私の仲間内で流行り、今では全国的にこの流行りが広がって、あまり需要のなかった380モーターが品薄の状態になっています。
ラジコンカーの歴史上類を見ない不思議な現象が起こっています。

ラジコンカーに求める意味を、ずっと「スピードが速いこと」に設定していたために
誰も「みんなでゆっくり走ること」に目を向けていなかった。
だからその楽しさを誰も知らなかったのです。
「スピードが出る」も楽しい。でも「ゆっくり走る」もすごく楽しい。
最初はマイノリティーだけの楽しみだったけれど。
それを知ってしまったマジョリティーによって、みんな使わなかった380モーターに大きな市場価値をもたらしました。
人間って無い物ねだりで、進みすぎるとゆっくりを求めるんですね。

ファーストフードを求めた時代の次は、スローフード。
便利なテクノロジーに溢れた時代の次は、色々めんどくさいキャンプが流行ったりする。
次は何が流行るんだろう?
クラウドに繋がらないコミュニティーで回覧板を持ってお隣さんの戸を叩くとか?

山田(・ω・)ノ

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