ルーヴル美術館に展示されている絵画(油絵)のほとんどは
木のフレームから剥がしたキャンバス(布地)をそのまま吊るして、手が届くほどの距離で鑑賞できるようになっています。
貴重な絵画だから手で触ったり傷つけたりする人がいないかと気になりますが
ルーブルを訪れる人にそんなことをする人はおらず、驚くほどありのままの姿の絵画を間近で鑑賞することができます。
そんな中にあって「モナ・リザ」だけは、とんでもない鉄壁のガードが施されて展示されています。
ルーブル美術館「ドゥノン翼」2Fの真ん中に鎮座する「モナ・リザ」は
湿度50%に保たれた防弾、紫外線カット、赤外線カットの3重のガラスケースに収蔵されています。
周囲の絵画はみんな裸で吊るされているのに、「モナ・リザ」だけが厳重な環境で守られています。
そもそも「モナ・リザ」はなぜここまで有名になり貴重な絵画として扱われているのでしょうか?
レオナルド・ダヴィンチ作だからでしょうか?
実は男の絵なんじゃないかと噂されているからでしょうか?
過去に盗難に遭ったり傷つけられたりしたからでしょうか?
レオナルド・ダヴィンチこそ元祖天才突破系アーティストとして名高いですが
「モナ・リザ」は他のアーティストが全くやらなかったことをやりすぎていて有名になりました。
レオナルド・ダヴィンチが編み出した、背景の遠景に立体的な距離を表現する「空気遠近法」を取り入れた絵画であること。
絵画はポプラの木枠にキャンバスを貼り付け、キャンバスに油絵具で描くことが通常のやり方であるのに
「モナ・リザ」はキャンバスを外したポプラの木枠に直接描かれていること。
そして、ペインティングナイフや筆を使わず、直接指で描かれていること。
などなど。かなりクレイジーな絵画であることがわかります。
木に人間の指で油絵具を擦り付けて描いているので、人間の脂質も加わりポプラの木枠は腐食しやすいため
厳重なケースの中に保管し保護されています。
実物をガラス越しによく見ると、その表面には指紋がびっしりとあり
レオナルド・ダヴィンチをすぐそばに感じる不思議な感覚を憶えます。
「サモトラケのニケ」も「ミロのヴィーナス」も「モナ・リザ」も
常識には当てはまらない要素で製作された、突破系アートであると言えます。
これらのアートを見つめる度に「常識って何なのか」を考えさせられるのです。
山田(・ω・)ノ