COLUMN

けん玉で世界を変える「ゼロ・グラビティ」。

T601の大阪本社はちょっと変な建物で、元々はワインを貯蔵する倉庫だったらしく

社内に巨大な貨物リフトがあったり、妙に天井が高かったり鉄骨がむき出しになったりしています。

およそオフィスと呼ぶにふさわしくない建物を

あの手この手で少しずつカスタムしながら、日々映像の制作に汗をかいています。

 

大畑さんという人。

 

何もなくガランとした1フロアにデスクを整然と並べ仕事をしていた頃

「新しいミーティングルームと社長室を作ろう」ということになり

リノベーション業界で有名な「シンプルハウスさんに施工を依頼しました。

私の家も過去に2度リノベーションをお願いしたのですが、そのデザインを手がけたのが

シンプルハウス」専務取締役の大畑ミツヒロさん。

この大畑さん、なかなか面白い方で

リノベーション業の傍ら、自身でデザインした家具をプロデュースして販売されています。

そのプロダクトの主役が「chimney」。

chimney」は「生活の脇役であるゴミ箱を空間の主役にする」という斬新なプロダクトで

T601の玄関でもその独自の存在感を放っています。

扱うものは違えど「ものづくりをする」ということや「表現をする」ということ、

そして「経営者である」という共通点で共鳴するところがあり、不思議なご縁をいただいています。

そのご縁もあり、過去に「chimneyの映像をT601で制作させていただきました。

その大畑さん、またまたすごいことをやらかそうとされています。

 

知らないけれど、知っている。

 

シンプルハウスさんはリノベーションをプロデュースする会社。

顧客の要望を聞き、デザインをし、職人さんを集め施工してもらい、理想の空間を生み出す。

その会社が、工務店を始めるという。

つまり、デザイン・プロデュースする会社が施工もやってしまう。ということ。

ん?

なんかこの感じ知ってるぞ。

あ。

T601みたいだ。

変わらない関係と、変わる時代。

撮影後の映像処理(CG/編集/VFX)を専門とするポストプロダクションとしてスタートしたT601は

2017年から本格的に企画制作部門を立ち上げ、企画から最終納品までをワンストップで行える体制を構築しました

ポストプロダクションにとって一番のお客様は企画制作会社。

その企画制作機能をポストプロダクションが持つということは、世が世なら完全に御法度なアクションだと言えるでしょう。

「競合」って言葉が闊歩していた時代は、ついさっきまで傍にいたのです。

しかし世の中の技術や文化の変遷に伴い、仕事の上でのヒエラルキーは大きなうねりとともに変化し

企画制作会社がポストプロダクション機能を、ポストプロダクションが企画制作機能を有することができる時代となったのです。

ゼロ・グラビティがもたらす「仲間」という視点。

受発注の関係性で構成されていた業界が

ふわっとその重力を失い、横並びになる特異点のようなタイミングが今なのかも知れません。

三角形だったヒエラルキーを円にして、「主従」を「仲間」に変えてみる。

ものづくりの視点は横並びの「仲間」にこそ宿り、思いもよらなかった、ちょっと上を行く成果を手にする。

そのプロセスで、お互いの視点を理解する。

その理解力は強力な財産となり、重力を少し戻して三角になった時も、お互いに最高のサービスが提供できるようになる。

全ては経験し、理解し、共有するというプロセスを得られたかどうか。

ついさっきまであった「競合」という壁を取り払うことで、世界全体が享受できる成果はあまりにも大きいと思えるのです。

リノベーションや建築施工の業界のことはよくわかりませんが

デザイン会社と工務店は受発注の関係性であったことは間違いないでしょう。

そのヒエラルキーを、けん玉の赤の如くゼロ・グラビティにしてみるという大畑さんの試み。

まるで2017年のT601を見ているようで、またまた不思議なご縁を感じています。

 

きっと、みんな変化している。

映像業界とリノベーション業界。この世の中の端っこで同様に起こっているゼロ・グラビティは偶然とは思えないのです。

きっとあらゆる業界にも似たような重力の変化があり、

そしてそれは明らかに世界を良くする方向に向かっているとしか思えません。

けん玉工務店に興味を持たれた方は、ぜひコチラの大畑さんの言葉に触れてみてください。

きっと少し、胸の奥の重力が軽くなる感覚になれると思います。

世界の重力をほんの少し変えるアクションを、大阪から。

しかし、けん玉は難しい。。。

 

山田(・ω・)ノ
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