COLUMN

うれしいひなまつりに思う、映像と言葉の関係性。

コロナウイルスの影響でT601では可能な範囲でテレワーク在宅勤務を行なっています。

スタッフには子供がいる世帯が多いので

総理大臣からのメッセージによる強制的な全国一斉休校は各家庭でかなりの負担になっています。

テレワークで少しでも負担が減り、また感染のリスクを下げることができればと思っていますが

とにかく早く事態が収束するのを願うばかりです。

 

うれしいひなまつり

 

今日は3月3日、桃の節句ですね。

テレビやラジオから流れる「うれしいひなまつり」により、コロナウイルス による閉塞感の中

強制的に世の中は桃の節句感に包まれています。

この誰もが知っている歌に、私がすごく好きなフレーズがあります。

 

きんのびょうぶに うつるひを

かすかにゆする はるのかぜ

すこししろざけ めされたか

あかいおかおの うだいじん

 

七五調の中になんと色彩豊かな表現がつめこまれていることでしょう。

このフレーズだけで頭の中に美しい映像が展開されてしまいます。

言葉が持つ高度なビジュアライズ機能の典型と言える美しいフレーズです。

 

言葉が映像を生む。

 

私たちが映像を制作する上で欠かせないのが「言葉」。

どんな映像を作るのか、どんな企画にするのかを言語化する作業から映像制作は始まります。

「画コンテ」にも多くの言葉が書き込まれますが

その画コンテになる前の、アイデア出しの中で作られるのが「字コンテ」。

字コンテはその名の通り、文字だけで企画を表現するというものです。

画を描かないので表現に時間がかからず、とにかくアイデアを多く生み出したり

企画内容をいち早く関係者と共有するためによく使われます。

この「字コンテ」の段階で、見た人の脳内に企画をいかにビジュアライズできるかが企画選定の大きな要素になります。

 

動画がもたらす利便性。

 

スマートフォンやyoutubeの普及により、誰でも気軽に動画を見ることができるようになり

本を読んだりするよりも、解説動画を検索して見た方が楽だ。と言う人も増えています。

実際に私たちが制作した案件の中にも「取扱説明映像」というものがあります。

取扱説明書にはQRコードが印刷されていて、それを読み取って映像で取り扱いについて理解する。

というもので、取扱説明書は紙や活字から動画へとそのインターフェイスが変化してきています。

 

メディアがもたらす機能低下。

 

最近「文章を読めない人が増えている」というニュースを読み、驚きつつも納得してしまいました。

LINEを使ったコミュニケーションは短文で、場合によってはスタンプのみで会話が成立してしまう。

わからないことはネットで調べ、動画で詳しく解説してくれる。

文章ではないインターフェイスで情報を受け取ることが当たり前になってしまい

文章を読み取る力が弱まっているというのです。

最近ではビジネスの場面でもメールの文章だけでは内容理解が乏しく

情報の齟齬が原因でトラブルになるケースも出てきている。とニュースは伝えていました。

メディアの進化が文章力の低下につながるとは情けない話だなと思いつつも

映像を制作する意味が増えることは良いことなので、なかなか複雑な気分でいます

 

映像はどうあるべきか。

 

私たちプロは「映像」と呼び、youtubeなどWEBやスマートフォンを媒体とするものは「動画」と呼ばれている。

「映像」も「動画」も同じじゃないか。と思っていましたが

「受け取り手の読解能力」の差も「映像」か「動画」かを分ける要因の一つなのかもしれません。

映像は言葉と同じように、情報の伝達手段でありながら

美しくも楽しくも恐ろしくも伝えられる表現手段でもあります。とても奥深く、価値があります。

ただ情報を得るためだけの「映像」「動画」ではなく

あらゆる表現を楽しめる「映像」「動画」であって欲しい。

そのためには「文章力」が大きなキーワードになっているなぁと

「うれしいひなまつり」を聴きながら感じています。

山田(・ω・)ノ

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